本論文は、機械学習研究の再現性と責任性の向上という2つの目標を取り上げ、この2つの目標が科学的推論に基づく再現性と倫理的推論に基づく責任性という異なる文脈で議論される点を指摘します。特に、機械学習の科学者たちが応用現場から離れており、責任を問いにくい「責任の空白(Responsibility Gap)」問題を解決するために、モデル性能再現性ではなく主張再現性(claim replicability)概念を提示します。主張の再現性は、機械学習の科学者が誤用や誤解によるダメージを引き起こす可能性がある非再現的な主張を作成したときに責任を尋ねるのに役立つと主張します。また、主張再現性の実装を技術的課題ではなく社会的プロジェクトとして規定し、競争的な認識論的原則、循環的参照(Circulating Reference)、解釈的労働(Interpretative Labor)、研究コミュニケーションへの実質的な影響などを議論します。